ジオン公国軍による「地球侵攻作戦」は、鉱物資源等の物資確保を主目的としたアフリカ方面への「第1次降下作戦」に続き、地球連邦軍の軍事施設を攻略することを主目的とした北米方面への「第2次降下作戦」へと拡大移行。「コロニー落とし」などの質量兵器による地表蹂躙で打撃を受け混乱状態にあった地球連邦軍は、北米の軍事開発拠点「キャリフォルニア・ベース」をも公国軍に奪われることとなった。
「キャリフォルニア・ベース」を手に入れたジオン公国軍は、その開発設備を利用して潜水艦隊の設立やガウ攻撃空母の量産を推進し、各方面の戦線へ追加戦力を投入。さらに、新型MSの開発拠点としても活用していく。「MS-06D」「MS-06K」といったザク・タイプの局地戦用改修のみならず、「MS-07 グフ」、「MS-09 ドム」といった、一年戦争中盤以降のジオン地上戦力を支えるマイルストーンがこの拠点から生み出されていったのである。
だが、戦争後期10月のガルマ・ザビの戦死、11月には「キャリフォルニア・ベース」の戦力の大半を投入した「ジャブロー降下作戦」が失敗に終わったことを契機に、ジオンと地球連邦は形勢が逆転する。地球連邦軍は独自開発のMS「RGM-79 ジム」を大量投入し、北米反抗作戦を展開、ついに「キャリフォルニア・ベース」の奪還に成功するのだった。拠点を追われたジオン公国軍の残存戦力は、一部は宇宙に逃れ、また一部は「アフリカ戦線」と同様にゲリラ化していった。
後に「一年戦争」と呼ばれるジオン公国による独立戦争は、当初は短期決戦を想定したものであった。だが、「一週間戦争」「ルウム戦役」を経て戦争の長期化は確定的となり、物資の乏しい宇宙コロニー国家であるジオン公国は窮地に陥る形となった。「地球侵攻作戦」は、その状況を覆してジオンが継戦能力を確保するためにも必要な戦略であり、その目的は、開発拠点の奪取や資源を獲得することにあった。
中でもアフリカ方面は、中東方面も含めた各種資源を抑える目的と、地球連邦勢力下のヨーロッパ攻略への足掛かりとしての側面もあわせ持つ重要エリアであり、侵攻部隊は第一次、第二次と多数送り込まれ制圧を確実なものとしていった。ここで獲得された戦略資源はジオンの兵站を十分に支え、採掘基地司令マ・クベが「ジオンはあと十年は戦える」という言葉を残すほどであった。
制圧に当たっては、ガウ攻撃空母を中心とした航空戦力が主軸となり、MSがこれと連携する立体的な戦術が用いられた。
特に、砂漠専用に特化した「MS-06D ザク・デザートタイプ」や、不整地の移動を得意とする新鋭機「MS-09 ドム」が順次投入されてからは、地上戦のあり方も大きく変貌し、MSが戦線維持の中心となっていった。
しかし、戦争後期11月の「オデッサ作戦」での地球連邦軍勝利を契機に、ジオンの中東・ヨーロッパ戦力は総崩れとなり、その影響はアフリカ本土にも及ぶこととなる。ついに連邦軍はアフリカ掃討作戦に踏み切り、ヨーロッパ方面からの敗走戦力と合流したアフリカのジオン戦力は、一部は宇宙への撤退を試み、また一部は徹底抗戦を試みた。掃討戦は「一年戦争」終戦後も続いたが、広大なアフリカ大陸に散らばった残存ジオン戦力は巧みに身を隠し、一年戦争後も長きにわたりゲリラ戦を展開していった。特に、U.C.0088の「第一次ネオ・ジオン抗争」時やU.C.0096の「第三次ネオ・ジオン抗争」時などには表立った形で決起し、旧式の戦力をそのまま運用しつつ一大反抗を見せている。
ジオン公国軍が開発して戦場に投入し、その後の兵器の概念を大きく変化させた人型機動兵器=モビルスーツ。開発当初は、宇宙空間での運用を前提に、人型にすることで、戦闘機や艦船以上の自由度の高い機動性と運動性を獲得することが目的とされていた。さらに、運用される戦局や戦術に対し、武器を持ち替えるだけで瞬時に近接戦闘からロングレンジの射撃にも対応できることができるという「汎用性」も併せ持つことで、モビルスーツの兵器としての実用性が高まっていった。しかし、この「汎用性」は開戦当初こそ画期的だったが、モビルスーツの運用が常態化し、連邦軍側でもモビルスーツ開発が始まってしまうと状況は一変。それまでの兵器が歩んで来た流れと同じく、モビルスーツも「進化」という方向に向かうことになり、その開発史の中で様々な機体バリエーションが生まれることになる。
宇宙用のモビルスーツの進化の系統は、大きく2つに分かれることになる。ひとつは、特定の任務を遂行するための機能を先鋭化させていく「用途特化型」だ。MS-06ザクやRGM-79ジムといった主力量産機は、汎用性の高さを目的にしているため、センサー類などの電子機器や基本武装においても秀でるのではなく、生産性や整備性などを含めた運用性を重視している。しかし、戦争が拡大していく中で、戦場における一部の作戦状況や用途において、運用時に一般的な機体では搭載機器や武装の性能が不足している面が明らかとなっていく。例えば、武装以外の特定の装備を持たないと運用が不可能な「機雷散布」や、カメラなどの通信機器を強化が必要な「強行偵察」は、汎用性を犠牲にしなければ任務を求める性能を満たすことができず、それらの用途に特化する形で改良が施されることになる。また、ニュータイプという特殊なパイロットが搭乗する、今までの兵器概念の範疇から離れる機体の開発も「用途特化型」に分類されるだろう。
もうひとつが「性能向上型」だ。MS-06ザクやRGM-79などの量産機は、一般のパイロットが操縦しやすいよう、運動性や機動性という機体の性能に関しても、特定の操縦技能があれば操縦することができる、バランスがとられた形で完成している。しかし、戦いを重ね、操縦技能が向上した一部のパイロットからは、より効率良く戦うために、さらなる機動性や運動性、攻撃性、防御性などの各部性能、もしくは機体全体の性能向上を求める声が上がってきた。また、機動性を活かした対艦攻撃や対モビルスーツ同士の格闘戦に近い戦闘などの特殊任務対して、汎用性はある程度残しつつも、機体の一部機能の性能向上が求められることもあった。こうした、ある意味現場の声を聞き、それに応じた改良によって生まれた機体のバリエーションが「性能向上型」に分類される。そして、「性能向上型」のバリエーション機の活躍は、戦場で運用され戦闘データとして蓄積されることで、より高い性能を有する次の世代の量産機の開発へと繋がってくことになる。
重力下のさまざまな地域や環境における「局地戦闘」に投入されることが多かった地上用モビルスーツのバリエーションは、特定の機能が求められることが多く、「用途特化型」が多数生産されることになった。一方、無重力という環境が戦場となる宇宙空間では、機体の性能を底上げすることで効率よく戦うことが重要視され、その結果「性能向上型」のモビルスーツが多く開発される傾向が強かった。
バンダイが長年蓄積してきた技術と、ロボットを愛する心=“ロボット魂”が創りだしたハイターゲット向けロボットフィギュア。最先端のCAD技術+造形職人の匠の技が織りなす“造形の妙”で、数々のロボットを圧倒的な完成度で立体化する。