魂の骨格 第12回 アニメーター 大張正己

大張 正己 


1985年から1986年にかけて、全43話が放送されたTVアニメーション『忍者戦士 飛影』。
その中でわずか2回の関わりでありながら、多大なインパクトを残したアニメーターがいた。
それが大張正己さんである。

大張さんは葦プロダクション(現・プロダクションリード)在籍中に参加した『超獣機神ダンクーガ』のメカニック作画で、その名前を知られるようになった。最初に参加した『飛影』の第28話「新たなる目覚め」(作画監督/羽原信義)は葦プロダクションを退社し、フリー活動を始めた頃に参加した作品だったという。


--最初に参加したのが第28話ですね。

大張 あの回は葦プロが1話まるごと担当していて、僕は原画スタッフとして参加しました。僕はその時にAIC(株式会社 アニメ・インターナショナルカンパニー)に机を置いていたのですが、葦プロにもたびたび顔を出していて、その流れで作業したと思います。主に飛影と零影の戦闘シーンを描きました。

ジョウ(忍者戦士 飛影の主人公)が飛影を召還するところも僕の原画ですね。メカニックデザインを担当されていた大畑晃一さんと森木靖泰さんも元々知り合いですし、デザインがカッコイイのでノッて作業させていただきました。当時、飛影、黒獅子、鳳雷凰、爆竜のおもちゃも買いましたよ。

魂の骨格 第12回 アニメーター 大張正己

魂の骨格 第12回 アニメーター 大張正己

▲大張さんが原画を担当した第28話より。手首の表情やポーズに、既に独自の画風が現れている。
また、大張さんが尊敬するというアニメーター・金田伊功さん(※1)の影響を感じさせるカットもある。

第28話の次に携わったのは第41話の「もうひとつの扉」(作画監修/平野俊弘 作画監督/垣野内成美 メカ作監/大張正己)。第42・43話は総集編のため、第41話が実質的な最終回である。
作画スタッフは、当時『戦え!イクサー1』『破邪大星ダンガイオー』に参加していた面々であり、TVアニメとしてはかなり豪華な顔ぶれだった。大張さんはメカ作画監督と原画を担当している。

大張 『飛影』では第41話が一番印象深いですね。作画監修の平野(俊弘)さん(※2)が大変こだわられていて、この回のためにキャラクター設定を作っていました。クライマックスの飛影と零影の対決は、今見ると「ちょっと青いかな?」とも思いますが、自分らしさをアピールする姿勢は伝わってきますね。

作画に関してはやれることはやったつもりですが、音楽が残念だったんです。
最終回の盛り上がるところですから、自分としてはもう少しアップテンポの曲が来ると思って作画していたんですよ。ところが、BGMが悲しい曲調なので、どうもシンクロしないんじゃないかって・・・。
この第41話を見て、メカ作監や原画だけでなく、今後は演出や監督もやりたいと思うようになりました。

魂の骨格 第12回 アニメーター 大張正己

魂の骨格 第12回 アニメーター 大張正己

▲第41話より。飛影と零影の戦闘は第28話以上の迫力となっていた。
また、飛影と鳳雷鷹の合体シーンは、この回のために新たに作画されたものである。

大張さんにとって『飛影』は、演出や監督に進むきっかけとなった。その後から現在に至るまで、大張さんが多くの作品で監督として活躍していることから考えれば、本作における経験は貴重なものだったに違いない。

最後に大張さんに超合金魂 GX-55 飛影&鳳雷鷹の試作品をご覧になっていただいた。鳳雷鷹に付属する飛影はアクション重視型で、全身の関節可動はもとより、大張さんが作画した映像のイメージを極力取り入れている。

超合金魂 GX-55 飛影&鳳雷鷹

大張 目もかっこいいし、手の表情もまさに僕の絵ですね。これがガレージキットでなく、バンダイさんの玩具としてここまで表現されるっていうのも驚異ですよ。

商品化されたことはもちろん嬉しいのですが、この飛影を自分の手のひらで動かせることは凄いことだと思います。本当にありがたいですね。


(※1) いわゆる「金田アクション」の異名で呼ばれる、独特の動画スタイルをもった伝説級のアニメーター。代表作は『無敵超人ザンボット3』『銀河鉄道999(劇場版)』『サイボーグ009(1979)』『銀河旋風ブライガー』(双方ともオープニング)など多数。

(※2)『超時空要塞マクロス』の作画監督を務めた際に、そのキャラクターが一躍注目される。1980年代後半には『大魔獣激闘 鋼の鬼』『冥王計画ゼオライマー』などのオリジナルビデオアニメーションの監督として活躍した。現在は平野俊貴に改名。

超合金魂 GX-55 飛影&鳳雷鷹
超合金魂 GX-55 飛影&鳳雷鷹


価格:9,450円(税込)
発売日:2010年9月下旬
対象:15才~


商品詳細ページはコチラ
 

超合金魂

[超合金魂]
ダイキャストをメイン素材とした光り輝く金属ボディとそこに秘められた数々のギミックは、少年の頃の熱い思いをよみがえらせる。規格化されない数々のギミック、ロボット毎への異なるアプローチとチャレンジ。「超合金魂」はロボット玩具を代表するシリーズである。


大張 正己

大張 正己 (おおばり まさみ)
1966年1月24日、神奈川県で生まれ、広島県で育つ。

スタジオG-1NEO代表取締役。『超獣機神ダンクーガ』にてメカニックデザインおよびメカ作画監督を担当し、その独特の作画スタイルが一躍注目を浴びる。現在は監督としても辣腕を振るっている。

【代表作】
『マシンロボ クロノスの大逆襲』(作画監督)
『機甲戦記ドラグナー』(オープニング)
『太陽の勇者ファイバード』(メカ作画監督)
『宇宙の騎士テッカマンブレード 』(オープニング)
劇場版『餓狼伝説』(監督)
『スーパーロボット大戦OG』(メカニックデザイン)
『超重神グラビオン』(監督)
『ガイキング』(メカ作画監督)
『獣装機攻ダンクーガノヴァ 』(監督)他多数。

 


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