魂の骨格 第8回 メカデザイナー 河森正治

河森正治


日本を代表するメカデザイナーであり、"ビジョンクリエーター"の肩書きを持つ、河森 正治氏とフランス人デザイナー ロマン・トマ氏。日仏のデザイナーによるロボットアニメ『バスカッシュ!』と、同じく河森氏原作で2009年11月21日より『劇場版 マクロスF~イツワリノウタヒメ~』が全国ロードショーとなる『マクロスF(フロンティア)』。この2作品の夢のコラボアイテム、『BIG FOOT Player ダンガン号 ノーズアートモデル』。

今回の魂の骨格では、単にキャラクターを掛け合わせただけのコラボにはない、このアイテムが持つ奥深い世界観設定を、両作品を手がけられた河森 正治氏に語っていただきました。


■ 出発点 - 作品世界を飛び出した歌姫 新しいキャラクターの味わい -

出発点 - 作品世界を飛び出した歌姫 新しいキャラクターの味わい -

現実の飛行機等で描かれていた"ノーズアート"をヒントに、『マクロスF(フロンティア)』[※以下フロンティア]の作中でケーニッヒモンスターに付けて活躍させたのが始まりです。
それをきっかけに、同じフロンティアに登場するメカニックのプラモデルにノーズアートを付けたり、ケーニッヒモンスターのノーズアート自体がフィギュアになったり。

そんなキャラクターの派生をストレートに『おもしろいな』と感じたんです。ある種無機質であるが故のメカの中に、キャラクターが入ることで、本来のメカやキャラクターが持っている味わいとは違う、面白い味わいが出てくるのかな、と。

そうしているうちに今度は、市販車のラジコンにキャラクターをデコレートしたもの(きゃらコン)が商品化された時、「フロンティアのキャラクターが作品世界を飛び出し始めている」と感じて、それならば「実際にランカやシェリルのライブ映像や楽曲が、超時空放送で現実の街にも流れてきている、それを見た人が本当に車に貼った"痛車"が走っていたり・・・」そんな世界観は面白いなと思っていたんです。

その後、フロンティアキャラクターのコスプレをした『らき☆すた』フィギュア(一番くじプレミアム)の話が持ち上がって、これはノーズアートのときとはまた違った作品世界の飛び出し方をしているなと感じ、「もう思い切って作品をまたぐのもありだな。公式にやることで、普通の意味でのパロディとか同人誌でやっていただくようなタイプとは違う面白味があるし、せっかくサテライトでフロンティアもバスカッシュ!も制作しているので、そういうのが出来るのであればやってみたい」と思いました。

バスカッシュ!そのものが、大きく言って日本サイドとフランスチームと、いろんな国境を越えたコラボレーションを前提とした作品だったので、ならばフロンティアとバスカッシュ!のコラボがあっていいのかな、と。

そんなところがこのアイテムの出発点ですね。

■ 共鳴 - バスカッシュ!だからこそ成立した世界観 -

共鳴 - バスカッシュ!だからこそ成立した世界観 -

ベースがバスカッシュ!の機体、と言うことで、もしバスカッシュ!の世界にシェリルが存在したら・・・と言うのがコンセプトですね。

バスカッシュ!の世界にもアルティマイトという特殊鉱物があるので、それがフォールドクォーツと共鳴してバスカッシュ!の世界に超時空放送が流れている。バスカッシュ!世界というのは現代よりも進んだテクノロジーの場所もあれば、遅れているところもあるので、鉱石ラジオの中にアルティマイトが使われていると時々超時空放送を受信してしまったり、画像がダブって映り込んだりするわけです。

そんな中、その混線した映像や楽曲をアンダーグラウンドで傍受している人たちの間で、「なんでエクリップスのところで違う歌が流れてるんだ?!何か声が似てるぞ」みたいなことが起きていて(爆笑)。で、「あの歌手は誰だ?!」とか騒いでいる人達がいる、と。そんな世界観ですよね。

そこで流れている映像を見ていると、戦闘メカも出てるみたいだけれど、あれは本当に戦闘しているのか、ただのドラマなのかもわからずに、アンダーグラウンドで盛り上がっている。せっかくだから『メサイア』と呼ばれているらしいメカの足をつけてみようか、と考えたチームがある・・・。

伝説リーグが行われていて、バックではこの星を救えるのは誰かを探しているという裏設定があるバスカッシュ!の世界の中で、「『メサイア』と言うのは向こうの言語では『救世主』と言う意味らしい。ということはその『メサイア』をつけたキャラクターと言うのはもしかしたらその『伝説』の力をもっているんじゃないか?」みたいな、そういうのにあやかって作られた機体、そんな感じですね。

■ インプレッション - 軍用兵器でないが故のモノとしての良さ -

インプレッション - 軍用兵器でないが故のモノとしての良さ -

バスカッシュ!のメカは、私のほうでコンセプトを考えて、フランス人デザイナーのロマン・トマさんが実際のデザインをまとめてくれているんですが、ディテールの入り具合が非常にいいんですよね。

「手足が細く長く、先端だけ末端肥大にして欲しい」とリクエストしたのですが、細い脚や二の腕をこんなに極端にまとめ上げてくれたことで、普通にはないマシンになりました。車とバイクの融合のようなそういうリアリティを持つ、通常のジャパニメーションのロボットとはちょっと違うプロポーションに仕上がったことが気に入っています。

実際商品になったとき折れそうでどうかと思ったのですが、すごくいいんですよね。商品化にあたっては、普通のフィギュアではやらない、「左右のソックス部分を非対称に蛇腹の太さを変える」「膝のシリンダーに金属を使う」「細い関節の動きがきれいにちゃんとと見えるように」といった点をリクエストしました。

インプレッション - 軍用兵器でないが故のモノとしての良さ -

商品用の追加ディテールは、最小限で最大の効果を狙って入れています。
あまり入れすぎると逆にかっこ悪いので、例えば真四角なスペースがあったら中央にはデザインを置かず、ギリギリ片方に寄せて置く、といったようにメリハリをつけて。

メッキ具合や金属感とディテールの量にしても、普通のアニメメカとは違う、どこに置いても恥ずかしくない『モノとしていいメカ』に仕上がっています。360度どこから見ても表情があって。これだけディテールが入っていると、普通やらないアングルから見るのが面白いんです。裏側とか背面とか。


軍用兵器でないが故の、剥き出しの部分がいっぱいあるのがすごくいいんです。
ロボ系メカ系が好きな人は絶対手に取って欲しいですね。

 

BIG FOOT Player ダンガン号 ノーズアートモデル
BIG FOOT Player ダンガン号 ノーズアートモデル

価格(税込) :6,300円
受注締め切り :2009年12月11日(金) 16:00まで
商品発送予定 :2010年2月中旬予定


プレミアムバンダイ 魂ウェブ商店はコチラ

「BIG FOOT Player ダンガン号」はコチラ

 

 

河森 正治

河森 正治 (かわもり しょうじ)
1960年2月20日 / 富山県出身

原作、監督、演出、脚本、絵コンテ、メカデザインまでこなすビジョンクリエーター。20代初期でTVシリーズ「超時空要塞マクロス」に登場する"バルキリー"をデザイン、リアルな戦闘機がロボットに完全変形するメカニズムを世に送り出し、可変ロボットデザインの第一人者となる。演出分野においても、若干24歳にして劇場作品「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」で監督デビュー。以後も様々な作品で才能を発揮している。

 

 

河森 正治氏が監督を務める『劇場版 マクロスF~イツワリノウタヒメ~』が2009年11月21日(土)から全国で公開。

『劇場版 マクロスF~イツワリノウタヒメ~』公式サイトはコチラ

 


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