劇中のイメージを踏襲

――まずは企画立ち上げの経緯からお聞かせください

担当AT : 2012年にリリースが予定されている『機動戦士ガンダムSEED』HDリマスター版の情報があったのが、まずひとつです。
それと作品のメカ作画監督を務めた重田 智さんに作画イメージで監修して頂いた「ROBOT魂」のストライクフリーダムガンダムが非常に高評価を得ており、今回はSEED第1作目の中からもっとも人気の高いフリーダムガンダムを、最高峰のロボット完成品トイブランドの「METAL BUILD」で提案したらどうだろうというのが、セレクトのきっかけになっています。

――METAL BUILD第1弾「ダブルオーガンダム セブンソード」は、メカニックデザインを担当した海老川兼武氏の完全監修での開発でしたが、今回もデザイナーさんによる完全監修による開発だったのでしょうか?

担当AT : フリーダムガンダムのメカニックデザイナーは大河原邦男さんですが、今回は設定画よりも劇中のイメージを踏襲しようということで監修はメカ作画監督の重田 智さんにお願いしています。
ですが、デザイナープロデュースのような前回とはアプローチが異なっており、今回は各分野のプロフェッショナルの方を集め、そのプロの技を結集しての開発となっています。

スカート部の外側への可動は、劇中イメージを踏襲するためのギミックのひとつ。この開閉により腿上げ時も腰部、脚部のシルエットの美しさが保たれる。

僕が仕事しやすいように入っていただいています(笑)(担当AT)

――ケミカルアタックの坂本さんも、そのおひとりですね。

担当AT : 重田さんの描いた劇中イメージと立体の仲介役、つまりディレクション役として、ご協力頂いています。

――坂本さんを起用した理由、きっかけはあったのでしょうか?

担当AT : 以前、パンプレストに在籍していたときから一緒に仕事をしていまして、「スペシャルクリエイティブモデル」シリーズなどは坂本さんと商品化しました。
それと坂本さんは、以前、キャンディトイの「MOBILE SUIT GUNDAM SEED THE HYPER HYBRID MODE」も手掛けられており、そのとき重田さんとやり取りした経緯もあったんですよ。
重田さんからは割とニュアンス的な提案をいただくことが多いので、そのニュアンスを"物を作るうえの言葉"に変換してくれたのが坂本さんでした。
坂本氏(以下敬称略):昔、一緒にお仕事したので、重田さんのお話を立体ベースに落とし込むのは慣れていました。

――じゃ、そのへんは作業的にはやりやすさもあって、坂本さんに?

担当AT : 極論すると、僕が仕事しやすいように入って頂いています(笑)。
それと今回、監修中に偶然、ホビー誌に掲載されていた「スペシャルクリエイティブモデル」シリーズの話題を重田さんが出されたんです。「やけにイイポージングがとれるガンダムがありましたね」と。
で、それを作ったのは坂本さんですから、やはり相性もよかったですね。

自分の中ではどうしてもしたいポーズ(ケミカル坂本)

――次に「METAL BUILD」の設計についてお話をお聞かせください。

担当AT : 「METAL BUILD」はブランドとして、やはりメタル、ダイキャストの使用が重要になります。それを踏まえて、(ダイキャストの使用に関しては)社内でも随一のノウハウを持つスカルファイブのメンバー、W氏にお願いしました。

――W氏の最新作は、どの商品になりますか?

設計W : 最新でいうとゴッドシグマですね。足を……(笑)。
担当AT :
最新作でも見事な変形を設計してくれました。
実はもっと色々手がけていますが、あんまり表に出てきてはいないんですよね。コレクターズ事業部の設計担当は、基本「S氏」がよく前に出て、次に「Y氏」ですが、第3の男「W氏」です(笑)。

――坂本さんから色々無茶な相談があったようですね。

設計W : 「こういうことをやりたいんですよね」と坂本さんの構想があり、そこから「できることを順番に見ていきましょう」と、設計を進めました。

――具体的にはどんなアイデアがあったのでしょうか?

設計W : 腹部と太ももが連動して動かす案がありましたよね。
坂本 : 人体の可動で考えると、腿を上げたとき、腹部も一緒に動きますよね。右腿を上げれば、右腹が縮んだり。その連動を左右の腹部、それぞれで可動させたかったんです。
設計W : ちょっと今回はね(笑)。
坂本 : じゃあ次回(笑)。

――逆に実現した機構は、いかがでしょうか?

坂本 : "肩装甲の上面が後ろにいかないで、ビームサーベルを構えさせる"と言うプランが最初からありました。ポージングとしては重田さんもイラストで描かれており、自分のなかではどうしても再現したかったんです。
通常のロボットフィギュアなどでは腕を前に出したとき、肩装甲ごと回ってしまいます。しかし、「METAL BUILD」では、そうならないように肩のシルエットが崩れないように肩装甲の構造を変えています。

腕を上げてもそのシルエットは崩れない。これによりサーベルを前に構えるポージングも、イラストのイメージそのままに決まる

METAL BUILD METAL BUILD
「GUNDAM FIX FIGURATION METAL COMPOSITE」シリーズで培われた、最高クオリティのロボット完成品トイ開発ノウハウを惜しみなく投入し、作品のデザイン性や世代に応じた商品デザインアレンジで立体化。
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