全然このとおりじゃなくていいですよ(重田智氏)

――構成を変更したことに対して、監修時に重田さんはどんな反応でしたか?>

坂本 : その辺りも重田さんは、けっこう「いいね!やっちゃえばいいじゃないんですか」みたいな(笑)。僕らの思いつきだけでやってるわけではなく。

担当AT : サンライズさんご同席のもと、むしろ重田さんが「でも、こうなんだよね。じゃあ、こういう案どうですか?」とアイデアが出てくるんです。

坂本 : 重田さんがよくおっしゃられるのが、自分で絵を描きながら「全然このとおりじゃなくてもいいですよ」と(笑)。
立体物は立体物で「カッコいいほうがいい」と言ってくれますし、「もうちょっとディテール足してもいいんじゃない?」って逆に乗せてくるみたいなところもありますよね。

担当AT : そんな感じで、このサイズに見合ったディテールは足しつつ、ポーズつける為の可動が入りつつ、重田さんの監修のもと、開発が進みました。

重田氏による商品用スケッチ。このような画稿が何枚も描かれており、重田氏のアイデアも数多盛り込まれていった。

キャッチボール。それを2,3回やりました(設計W)

――フリーダムガンダムと言えば、"翼"が印象的ですが、この辺りにもこだわりが?

担当AT : 今までのフリーダムではなかったと思いますが、翼が八の字に開くようにしました。せっかくの大きなサイズなので、こういうところをぜひ実現させようと。

設計W : 初期構想の頃から実現を模索する中で、サイズ出しから色々やり取りをして、一番時間が掛かった箇所ですね。

坂本 : 何種類もパターンを出しましたよね。

設計W : 何パターンか出したところで打ち合わせして、キャッチボール。それを2、3回やりましたよね。

担当AT : 結局、薄さとギミックの連動を考えると、やっぱり難儀したみたいですね(笑)。
やはりフリーダムは"翼"を使った空中でのポージングをさせてナンボですから。その意味でも、ディスプレイにもこだわっていて、W氏のさりげない超絶ギミックがあります!

設計W : ありましたか?

担当AT : あります!
フリーダムの腰辺りにディスプレイに固定するための装着部があるんですが、ある日、坂本さんが「背中のバックパックでも固定したいよね」と言いまして(笑)。
で、「なんとかならない? W氏~」となり、バックパック部分の中央下方から固定部分が展開するギミックを考えてもらいました。

普段ではやれないぐらいやっちゃおうかな(リボルブ広瀬)

――フリーダムでは、構造や造形、ギミックに加えて、彩色も見どころになっていますよね。

担当AT : ここでようやく広瀬さんが登場するんですけど。とても変わった人で……。彩色のとき、色指定して渡すと嫌がるんです。なので、"ふわっ"とだけ伝えるんです。

――イメージを?

担当AT : 抜群にセンスよく塗ってくれるので、すごくいいんですけどね。重田さんの方でおっしゃった内容、さらに塗り分けとかスミイレとかやりたいよねっていう話をしました。
そのなかで依頼してないこととかもたっぷり入れてもらって。

広瀬 : 基本的に白の面積多いところなどに様々な色を置いて、全体的に派手に見えるように塗装しています。
あとは高額商品なので、普段(の商品)では、やれないぐらいやってしまおうと、悪ふざけしてしまったところもあります。

――様々なトーンの白を使われているのはリアル感のためでしょうか?

広瀬 : それほど"リアル"を目指したわけではなく、見た目重視、見栄えがするように心がけました。
それにプラスして、イラストの雰囲気や影が落ちるところとかを考えています。
あとは造形面で、細かいパーツ分けが随所に感じ取れたので、これは塗れっていうことなんだろうなと(笑)。
一同「(笑)」

坂本 : そういうことです(笑)。

広瀬 : 形に塗らされました(笑)。

青を赤にしちゃダメだよって(担当AT)

白、青はそれぞれ単色ではなく、複数のトーン違いで、色分けがなされている。造形と合わせて、彩色へのこだわりもポイント。

――これだけ凝った塗装では、量産がやはり大変だったではないでしょうか?

担当AT : ダブルオーはマーキングが満載でしたので、今回はあれと並べた時に見劣りしないような塗装もコンセプトでした。
"羽"も普通は、青と黒だけですが、外側に青を追加、さらにメタリックで塗装したり、変化を付けました。
広瀬さんには「青を赤にしちゃダメよ」とは言いました、「青を何色使ってもいいよ」とお願いしました。また、重田さんから毎回言われていたのは「赤を目立たせて欲しい」と。

設計W : 肩の赤い部分を大きくしてほしいと言われて、やり直したのを思い出しました(笑)。

担当AT : フリーダムの差し色は"赤"、ジャスティスは"緑"なんですね。遠くから機体が迫ってきた時に識別できるように、というデザインらしいのですが、この赤を目立たせるのが大変でしたね。

広瀬 : どうしても暗く落ち着いてしまうので、どこまでやっていいのか悩みました。

担当AT : 目立たせると今度はピンクに見えてしまう。でも、ピンクに見えないようにしてほしいと、また広瀬さんにふわっとしたお願いをして(笑)。

坂本 : 血の色はシン、デスティニーの色だから、キラはその色ではない。重田さんは、そんなこともおっしゃっていました。

担当AT : 紫に振りすぎると血の色っぽくなるんですよね。

広瀬 : でも、基本的には、むしろ好き勝手やりましたね。

担当AT : さすが!

 

「好き勝手やれ」のパターンでした(担当AT)

――では、最後に今回の開発を総じての感想や印象などお聞かせください。

坂本 : だいたいAT氏と仕事するといつもですが、「好き勝手やれ」のパターンでした(笑)。

一同 : (笑)

担当AT : 僕が口出しするようなことは、あまりないんですよ。プロの方々に集まってもらっていますから、任せるのが仕事です。
ただ、基本のところは、重田さんがおっしゃったこと、「METAL BUILD」のコンセプトがあるので、そこだけはブレなければ、あとは各担当にお任せ。
だって、自分ひとりで赤ペン入れていたら、できないですよ!

設計W : でも、打ち合わせで、「ここはやろう」、「ここはやめよう」と、ハンドリングはしていたんですよね?

担当AT : ですかね? ……あははは(笑)。

――調整役として(笑)、縁の下で。

担当AT : はい、基本的には調整役です。版元との調整もそうです。

坂本 : AT氏はその辺りがしっかりしているから、こちらも思い切った線を引いたり、思い切った色を塗ったりできたんです。
そこがやっぱり思いきりよく仕事ができた要因ですね。

担当AT : ありがとうございます!

 

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「GUNDAM FIX FIGURATION METAL COMPOSITE」シリーズで培われた、最高クオリティのロボット完成品トイ開発ノウハウを惜しみなく投入し、作品のデザイン性や世代に応じた商品デザインアレンジで立体化。
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