一年戦争初期において、その後の戦局を左右するに至った地球連邦軍とジオン公国軍による大規模艦隊戦「ルウム戦役」。その戦いで、戦力に劣るジオン公国軍を勝利に導いたのが、主力兵器として初めて戦場に投入されたMS-06F ザクIIであった。この機体の特長は、戦況や作戦に応じてさまざまな武装を変更できる汎用性にあったと言える。MS-06F ザクIIは、対艦戦闘はもちろん、宇宙戦闘機を相手にした対空戦闘、さらには宇宙空間を自ら移動しそのままコロニーの内部に侵攻し対地攻撃に至るまで、まったく異なる戦況をわずかな装備の変更で対応できるようにすることを前提に開発されていた。しかし、開戦当初の「切り札」として役立った汎用性は、MS-06 ザクIIという機体のポテンシャルを引き出すという意味では大きな足枷となっていたと言われる。
そうした状況の中で、シャア・アズナブルが愛用していたMS-06S ザクIIのような機体にわずかな改良を加えて機能の向上を図ったカスタムタイプではなく、宇宙戦闘用に特化したバリエーション機の開発が開始された。それが、後にMS-06R 高機動型ザクIIと呼ばれる機体であった。この機体は、南極条約の締結によって戦争の長期化が予想される状況に突入したことから、宇宙空間における戦力増強の一環として開発がスタートすることになる。
宇宙空間戦闘専用のザクIIを開発するにあたっては、バックパックと脚部を新たに設計。バックパックは推進能力を上げる強化スラスターの搭載に加え、上部にはプロペラントタンクを配置。さらにバックパックの形状を変更することでジェネレーター出力も向上され、MSとして性能自体が向上している。さらに脚部には大型のスラスターが3基装着され、これを稼働させるために大腿部を含む脚部にはプロペラントタンクを内蔵し、航続時間の増強が図られている。これらの新規設計のパーツを取り付けることによって、「高機動型ザクII」と呼ぶに相応しい、宇宙空間における加速性能と機体制御能力が格段に強化された機体となった。
高機動型ザクIIは、初期生産型となるMS-06R-1が生産されるが、推進スラスターの不良や燃料積載量の少なさなどの問題が浮上。それらの問題を解消すべく、より精度の高いスラスターの変更とプロペラントタンクのカートリッジ化などが行われた改良型のMS-06R-1A型が完成する。
ジオン公国軍の宇宙用の主力MSが、MS-09R リック・ドム、MS-14 ゲルググへと移行するまでの間、MS-06R-1Aは量産化され、ソロモンやグラナダをはじめとした各部隊へと送られた。こうして戦場でのデビューを果たしたMS-06R-1Aは、MS-06F ザクIIと比較し高性能であったことからエースパイロットたちの高い評価を得ることになる。そんなMS-06R-1Aを愛用したエースパイロットの中で有名なのが、「黒い三連星」の異名を持つガイア、オルテガ、マッシュの3名であった。
黒い三連星は、ルウム戦役においてMS-06F ザクIIに搭乗し、地球連邦軍宇宙艦隊の指揮官であるレビル将軍の座乗艦を撃沈。その名を馳せることになる。その後、MS-06R-1Aを受領した黒い三連星は、宇宙軍所属として活躍。MS-06R型の初めての実戦として、黒い三連星は、グラナダ付近でジオン公国軍の領域に潜入したルナツー所属の地球連邦軍の強行偵察隊と交戦。黒い三連星のパーソナルカラーであるブラックとパープルに塗装されたMS-06R-1Aが、戦闘時に地球連邦軍のマゼラン級宇宙戦艦、サラミス級巡洋艦に連係攻撃であるジェット・ストリーム・アタックを仕掛けている様子を写した戦場記録写真は有名だ。
黒い三連星は、その後地球へと降下し特別任務を遂行の最中に戦死してしまうが、宇宙で愛用していたMS-06R-1Aは撃墜されずそのまま残されていたため、その後オーバーホールされ、別の部隊に再配備されたと言われている。
エースパイロット機として開発されたが故に生産数は多くなかったMS-06Rのバリエーション機は、その後一年戦争の末期までMS-09R リック・ドムとの混成部隊に配備されるなどして活躍。MS-06R 高機動型ザクIIは、ジオン公国軍のモビルスーツ開発史において、宇宙空間での高機動戦闘型モビルスーツ開発に多大な影響を与えたことも踏まえ、多数存在するMS-06 ザクIIのバリエーションの中でも、重要な位置を占める傑作機と言えるだろう。
MSVシリーズを代表する高機動型ザクIIが遂にROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.に登場!一年戦争初期に活躍し、今なお幅広い世代に人気を誇る黒い三連星仕様で商品化。三機並び飛ぶシーンを再現したくなる豊富なオプションパーツが付属。
武装はMSVオリジナルの試作型ジャイアント・バズ、ザク・マシンガン、通常型と収納形態のヒート・ホークが付属。試作型ジャイアント・バズは背面腰部へ専用ジョイントを用いて懸架可能。
また、専用手首により、掴んだ状態での携行も可能。
肩部シールドの突撃機動軍マーキングはタンポ印刷で再現。
バーニアエフェクトは直軸と曲軸の2種がver. A.N.I.M.E.史上最高の計10本付属。向きを調整することで、スピード感の演出が可能。
さらに、黒い三連星の各機体を選択して再現出来る、カスタマイズシールも付属。
「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」シリーズ(別売り)に付属する各種エフェクトパーツが取り付け可能。
また、「ROBOT魂 <SIDE MS> MS-06 量産型ザク ver. A.N.I.M.E.」(別売り)付属の
マゼラ・トップ砲など、装備の共用が可能。
バンダイが長年蓄積してきた技術と、ロボットを愛する心=“ロボット魂”が創りだしたハイターゲット向けロボットフィギュア。最先端のCAD技術+造形職人の匠の技が織りなす“造形の妙”で、数々のロボットを圧倒的な完成度で立体化する。